ペペロンチーノについて「本当のこと」を教えてくれたのは葉加瀬太郎だけ
とても有名な動画だから既に見た人も多いと思う。
ただ、これまでペペロンチーノに凝ってきた人ほど真面目に受け取らず試していないのではないか。
- ニンニクは雑に切る
- 茹で汁を加えるのはフライパンに麺を入れたあと
まさか、こんなことが重要だとは思いもしないだろうから。
1.ニンニクは雑に切る
「イタリア料理のコツはニンニクを細かく刻みすぎないこと。日本人は細かく刻みすぎる」
「大雑把な方が美味しい。ホクホクしたところがあったりカリッとしたところがあったり」
「ちっちゃい破片が狐色になるぐらいがポイント」
と、動画では言っている。
なんでこんなことで美味しくなるのかは分からないが、本当に美味しくなる。
私もこれまでに色々な方法を試してきた。
ニンニクをみじん切りにしたり、みじん切りとスライスを併用したり、オイルの中で潰したり。
狐色まで火を通したり、狐色の手前で止めたり、茶色くなるまで火を通したあとオイルから取り出したり。
それらの方法でもそれなりの味にはなった。しかし、うまく言葉にできないが、ガーリック!という感じがいまいち出なかった。
ネットに転がっている様々なレシピ、動画、素人のものもプロのものも含めて参考にしたが、どれもあまり違いが出ない。
明確に差が出たのは、葉加瀬太郎のこのやり方だけ。理由は全くもって分からない。
2.茹で汁を加えるのはフライパンに麺を入れたあと
これも、なかなか信じがたいことだろう。
特に乳化原理主義者の皆様には。
「オイルに茹で汁を加えてフライパンを揺すり白濁したとろみのついた状態にする」
その辺に転がっているレシピは本当にこのパターンが多い。
確かにそうすると麺にソースがよく絡むようになる。
食べたあと皿にオイルが残らないし、油っぽさも減る。
だが、オリーブオイルやニンニクの風味が変質してしまう。
好みの問題だから "変質" と書いたが、直截に言って劣化すると思っている。
動画を見ると、オイルに直接パスタを投入してから茹で汁を加えている。
結局あとで茹で汁を加えて混ぜるのだから同じではないか?と思うだろう。
私もそう思う。
同じとしか思えない。
でも全然違う。これも理由は全く分からないけど、全然違う。
「オイルに茹で汁を加えて混ぜてからパスタを加える」のと「オイルにパスタを投入してから茹で汁を加えて混ぜる」のとでは別物になる。
実際違うのだから受け入れるしかない。
結局何が起こっているのかは分からない
理屈じゃない。なんて言うつもりはない。
何らかの理屈はある。しかし、それは到底追い切れるものではない。
乳化がどうとか、メイラード反応がどうとか、いくつかの理屈っぽいものは知っていても、料理の過程で発生する現象すべてを正確に把握することはできない。
肉の焼き方一つとっても未だに議論が絶えないくらいだ。「強火で表面を焼き固めて肉汁を閉じ込める」という私達が家庭科の授業で習ったことは正しかったのか?間違っていたのか?とりあえず実践してみて美味しい方を選ぶしかない。
今回の動画に関しても何がどう作用しているのかは全く分からないが、とにかく他の数多のレシピとは少し違うことをやっていて、そして美味しい。
ペペロンチーノのメカニズムに精通した気になっている人ほど試してみてほしい。